データで見るスーパーマーケット業界
スーパーマーケット業界の市場規模は横ばいに推移
ビズチェキが集計したスーパーマーケットを展開する主要企業58社の合計売上高は19兆9,419億円と前年の19兆5,339億円から2.1%の増加となりました。
一方で、日本チェーンストア協会によると加盟している55社の売上高は12兆4,325億円で、前年から4.3%減となっています。
積極的に出店するスーパー各社。展開する店舗は小規模化が進む
日本チェーンストア協会のデータによると、加盟55社の2019年末の出店数は前年末の10,447店舗から103店舗増の10,550店舗となりました。増加率は1.0%ですが、店舗数の増加は7年連続で、各社が積極的に出店してきていることがわかります。
(日本チェーンストア協会より)
積極的に出店するスーパー各社ですが、時代の流れに合わせて出店する店舗を変えていることがデータからわかります。
日本チェーンストア協会のデータを分析したところ、スーパー各社が出店する店舗の店舗当たり面積は、2012年をピークに減少しています。2012年の店舗当たり面積の平均は3,059㎡でしたが、2019年は2,362㎡と、7年で23%も店舗当たり面積が小さくなっています。
また、店舗当たり面積の減少とともに、店舗当たり従業員数も減少しています。店舗当たり従業員数は、ピークの2011年の53.8人から、2019年は44.7人に減少しています。
(日本チェーンストア協会より)
(日本チェーンストア協会より)
コンビニやドラッグストアだけでなく様々な業種と競合するスーパーマーケット
店舗の小型化が進み、コンビニエンスストアやドラッグストアとの競合が進んできていることはよく言われています。コンビニエンスストアやドラッグストアは、生鮮食品を含むさまざまな商品を取りそろえるようになるなど商品ラインナップを増やしてきており、スーパーマーケットにとって無視できない存在になってきています。
一方で、日本チェーンストア協会のデータを見ると、スーパーマーケットが競合しているのは、コンビニエンスストアやドラッグストアだけではないことがわかります。
スーパーマーケットでは、食料品以外にも衣料品や日用雑貨、医薬・化粧品、家具・インテリア、家電製品などの住関連品の販売も行っています。つまり、衣料品ではアパレルブランドと、住関連品ではドラッグストアとともに、ホームセンターや家電量販店とも競合しています。
住関連品については、食料品を買うついでに購入するというニーズがまだまだあるようで、スーパーマーケット全体の売上に占める割合は横ばいに推移しています。
一方で、衣料品については、ユニクロなど安価で良質な衣料品を購入できるようなアパレルブランドの台頭もあって、スーパーマーケットでの衣料品購入ニーズが低下し、全体の売上に占める割合が年年減少してきています。
住関連品については、一定の売上を維持はしていますが、競合する専門店も店舗展開を進めており、どの程度維持できるか不透明な思われます。
スーパーマーケットの店舗の小規模化も進んでいることもあり、今後はより食料品の割合が増加していくものと思われます。

データからわかるスーパーマーケット業界の厳しさ。店舗面積当たり、従業員当たりの売上の低下が止まらない
すでに説明したように、スーパーマーケットの店舗の小規模化が進んできています。それに伴って、店舗当たりの売上高も減少してきています。店舗当たり売上高は、2012年は16.0億円でしたが、2019年には11.8億円に減少しています。ただ、そもそも店舗の小規模化が進んでいるので、店舗当たりの売上高が減少することは当然のことです。
注目したいのは、店舗面積当たりの売上高、従業員当たりの売上高も減少してきていることです。
以下のグラフは、店舗面積当たりの売上高の推移です。グラフからもわかるように、店舗面積当たりの売上高は年々下がっています。2019年の店舗面積当たり売上高は49.2万円と、10年前の1995年の105.4万円の半分以下、2000年の87.1万円の56%にまで減少しています。
さらに、従業員当たりの売上高も減少傾向にあることがわかります。面積当たり売上高の減少、従業員当たり売上高の減少は、収益性の悪化につながります。
(日本チェーンストア協会より)
(日本チェーンストア協会より)
面積当たり、従業員当たりの売上高の減少の影響もあってか、従業員に占めるパートの割合は年々増加しています。
パートの人件費は正社員に比べると少ないですし、また店舗の業務状況に合わせて増やしたり減らしたりすることが比較的簡単にできるといったスーパー運営会社側としてのメリットがあります。もちろん、パートという非正規雇用者の増加は、雇用の安定につながらず、社会的な問題になっているという側面があることは忘れてはいけない事実です。
(日本チェーンストア協会より)
スーパーマーケットの今後の展望
EC大手との提携も駆使しながらネットスーパーを強化する業界大手。
以前から利用が拡大してきていたネットスーパーですが、新型コロナウィルスの影響もあり、ネットスーパーの利用がさらに拡大してきています。
イオン、イトーヨーカ堂、西友などの業界大手は、積極的にネットスーパー事業を拡大させてきました。
イオンは、ネットスーパー事業を拡大させる中、食品や食材の配送網の強化をするために、イギリスのオカドと提携し、自前の物流網構築を進めています。
西友は、楽天とともに、西友楽天ネットスーパーを展開しています。尚、楽天は、投資ファンドKKRとともに楽天の85%の株式を取得することで合意。楽天は西友への出資を通じて、ネットスーパー事業のさらなる強化を図る予定です。
EC世界最大手のアマゾンはAmazon Prime会員向けに、東京近郊でAmazonフレッシュを展開し、独自で加工食品、総菜、飲料などの販売を行っています。また、アマゾンはライフコーポレーションと提携し、ライフの店舗で販売している生鮮食品、総菜などを最短2時間で届けるサービスを展開しています。いずれも今のところエリア限定ではありますが、対象エリアは順次拡大しています。
スーパーマーケット大手同士の地域を超えた資本提携が進む
イオンが中国・四国でスーパーマーケットを展開するフジと資本業務提携を行いました。イオンはフジに15%出資、フジはイオン子会社のマックスバリュ西日本に7.61%出資しています。また、マックスバリュ西日本は、イオングループのマルナカ、山陽マルナカと合併しており、イオンは西日本エリアでのスーパー事業の強化・統合を行っています。
北海道・東北地盤のアークス、中部地盤のバローホールディングス、中国地方・九州地盤のリテールパートナーズが、「新日本スーパーマーケット同盟」と銘打った戦略的な資本業務提携を結び、各社が株式を持ち合う形で、相互に連携を始めています。今後、新日本スーパーマーケット同盟に地方ローカルスーパーマーケットにも参加してもらうことで、提携の規模の拡大も考えているようです。
ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、ユニー・ファミリーマートホールディングスからユニーの株式を取得し完全子会社化し、スーパーマケット事業の強化を図っています。
今後、成長が期待できそうな注目業態
ネット通販で成長を遂げるオイシックスラ大地
ネットスーパーが台頭する中で、有機野菜のネット販売を行うオイシックス・ラ・大地。市場全体が伸び悩み、業界大手が生き残りをかけた資本提携を進める中で、オイシックス・ラ・大地は売上を伸ばしてきています。新型コロナによる影響もあり、また今後在宅勤務の定着によって家庭での食事の機会が増えることも想定されており、オイシックス・ラ・大地のさらなる成長が期待できそうです。
また、オイシックスだけでなく、農家から生産者の食材を直接購入することのできる「食べチョク」(ビビッドガーデンが運営)など、新鮮な食材を購入できるさまざまなサービスが展開されてきています。ネットでは、資本力よりも、消費者にささる斬新なアイデアがより重要になります。今後も、さまざまなサービス、ビジネスの誕生が期待できそうです。
消費者にニーズにはまった業務スーパーで成長中の神戸物産
ネットによる食品・食材販売の成長が注目されていますが、店舗型でも、まだまだ勢いのある業態があります。それは業務スーパー。業務スーパーは、業界大手の神戸物産が展開するブランドです。
安くて量の多い業務用食品を購入でき、また値段の安い輸入食品の購入もできることもあり、人気が高く、成長を続けている注目のスーパーです。
業務スーパーを展開する神戸物産の売上成長率12.1%と、高い成長を遂げていますが、営業利益率も6.4%と、業界平均の1.7%を大幅に上回る高収益を叩き出しています。新型コロナによって家庭での食事が増えていることや、節約志向の定着などもあり、今後も成長が期待できそうです。
スーパーマーケット業界企業ランキング
スーパーマーケット業界の企業の主に上場企業の売上、営業利益、年収をランキングで紹介します!
売上高ランキングTop10社
スーパーマーケット業界の売上高ランキングは、イオンがダントツの首位で、売上高は6兆2,949億円でした。主力のイオン、マックスバリュに加えて、ダイエー、ユナイテッド・スーパーマーケットHDがグループにあり、圧倒的な存在感を示しています。2位は、イトーヨーカ堂、ヨークベニマルなどを運営するセブン&アイ・ホールディングス。次いで、3位は中国・四国・九州地方で主に展開するイズミでした。4位~10位は、ライフコーポレーション、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス、マックスバリュ西日本、アークス、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、ヤオコー、オーケーとなりました。
売上成長率ランキングTop10社
売上高成長率の上位3位は、いずれも資本再編等によって大幅に売上高を増加させました。首位の東武鉄道は東武ストアを連結子会社化、2位のマックスバリュ西日本はマルナカと山陽マルナカを吸収合併、3位のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスはユニーの完全子会社化を行いました。上位3社に比べると成長率は落ちますが、4位~10位の企業も、業界全体として成長が低迷する中で、売上高成長率10%以上と高い成長を遂げました。4位~10位は、マックスバリュ東海、大黒天物産、JMホールディングス、G-7ホールディングス、神戸物産、オーシャンシステム、オイシックス・ラ・大地となりました。
営業利益ランキングTop10社
営業利益で首位だったのは、売上首位のイオンで、287億円でした。売上高ではダントツの首位でしたが、営業利益では、ダントツとはいかず、2位のイズミが265憶円と、肉薄しています。3位以下は、3位がオーケー、4位が神戸物産。5位~10位は、ヤオコー、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、ライフコーポレーション、アークス、平和堂となりました。
営業利益率ランキングTop10社
営業利益率で首位だったのは、成城石井を運営するローソンで営業利益率は8.96%でした。2位は業務用スーパーのアミカを運営する大光、3位は同じく業務用の業務スーパーを運営する神戸物産。4位~10位は、オオゼキ、サンエー、JMホールディングス、オーケー、ベルク、イオン北海道、ヤオコーとなりました。
平均年収ランキングTop10社
平均年収でトップだったのは、イオンで865万円でした。2位は、イズミヤなどを運営するエイチ・ツー・オーリテイリング、3位はマルエツやカスミなどを運営するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスでした。3位~10位は、アクシアルリテイリング、セブン&アイ・ホールディングス、東武鉄道、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、ローソン、バローホールディングス、ゼンショーホールディングスとなりました。
★ 他の業界動向も知りたい場合は 注目業界一覧 をご覧ください★
スーパーマーケット業界への転職
スーパーマーケット業界への転職を考えている方は、まずは転職エージェントに相談することをおすすめします。
転職エージェントに相談すれば、スーパーマーケット業界や仕事内容などについてきっちりと説明してくれます。また、各社の 選考の突破率を向上させるために、履歴書・職務経歴書の添削や面接対策を受けることもできます。
また、自分だけでは見つけることのできない企業を紹介してくれるかもしれませんし、スーパーマーケット業界以外の様々な仕事も紹介してくるので、転職先の幅を広げることができます。
おすすめの転職エージェント
◆ リクルートエージェント
◆ doda
◆ マイナビエージェント
◆ JACリクルートメント
◆ パソナキャリア
◆ type転職エージェント
スーパーマーケット業界 主要企業 売上高Top20社
スーパーマーケット業界の主要各社の全データをご覧になりたい方はこちら!
順位 | 企業名 |
1 |
売上高 :6兆2,949億円(GMS事業、SM事業) |
2 |
売上高 :1兆8,491億円(スーパーストア事業) |
3 |
売上高 :7,229億円(小売事業) |
4 |
売上高 :6,931億円 |
5 |
売上高 :6,763億円 |
6 |
売上高 :5,340億円 |
7 |
売上高 :5,192億円 |
8 |
売上高 :4,983億円(総合スーパー事業) |
9 |
売上高 :4,422億円 |
10 |
売上高 :4,360億円 |
11 |
売上高 :4,248億円(小売事業) |
12 |
売上高 :4,017億円 |
13 |
売上高 :3,780億円(スーパーマーケット事業) |
14 |
売上高 :3,593億円(食品事業) |
15 |
売上高 :2,996億円 |
16 |
売上高 :2,959億円 |
17 |
売上高 :2,848億円 |
18 |
売上高 :2,715億円 |
19 |
売上高 :2,552億円 |
20 |
売上高 :2,409億円 |