J-REIT市場・業界動向と主要企業

J-REIT市場・業界動向と主要企業

2001年に始まったJ-REIT。2001年の上場J-REIT銘柄数は2社のみでしたが、その後順調に拡大し、2007年には42銘柄まで増加。リーマンショック・東日本大震災の影響を受けて、銘柄数が減少した時期もありましたが、2012年以降は拡大を続け、現在は上場J-REIT銘柄数は64にまで拡大しています。また、保有不動産額も、リーマンショックがあった2008年12月時点で7.44兆円でしたが、2020年3月時点で19.52兆円にまで増加しています。

J-REITを通して、少額から不動産投資に参加できるJ-REIT。J-REIT市場や、業界動向、主要企業を取り上げます。

安定的な成長を遂げてきたJ-REIT

不動産証券化協会によると、2020年3月時点のJ-REIT全体の保有不動産物件数は4,198件、保有不動産額は19.52兆円。J-REITが始まった2001年からの推移を見ると、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災の影響で一時停滞した時期がありましたが、ほぼ一貫して、物件数、保有不動産額が増加しています。2012年以降の安定した成長は目を見張ります。

J-REIT.jpより)

時価総額は好不況でアップダウン

物件数、保有不動産額が安定的に成長するJ-REITですが、時価総額や上場銘柄数を見ると、景気の好不況の影響を受けてきたことがわかります。

J-REITが始まった2001年から2007年までは時価総額、上場銘柄数ともに右肩上がりに成長し、2007年5月にはJ-REIT全体の時価総額が6.80兆円に達し、7兆円まであと一歩の水準まで拡大しました。しかしながら、世界的な金融危機を巻き起こしたサブプライム問題の発端となった2007年のパリバショック、2008年のリーマンショックの影響を受けて、時価総額は大幅に減少し、2009年2月には2.27兆円と、ピーク時の3分の1以下の水準まで落ち込みました。

尚、リーマンショックの影響を受けて、ニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生法適用を申請し、破綻することになりました。

2009年以降、時価総額は徐々にに回復していきましたが、2011年3月の東日本大震災の影響により再び落ち込むことになりました。ニューシティ・レジデンス投資法人の破綻以降、破綻したJ-REITはありませんが、2009年から2011年にかけて、J-REITの合併・再編も進み、上場銘柄数はピーク時の42件から34件に減少しました。

2012年以降は、新たに参入する企業により上場銘柄数が増加、既存のJ-REITの時価総額の回復、新たなJ-REITにより、J-REIT全体の時価総額は急速に回復し、2020年3月時点では17兆円にまで拡大しています。

新型コロナウィルスの影響で、J-REITの時価総額が減少するなどの影響が出ています。しかしながら、J-REITは、オフィス、住宅や物流施設などの生活・ビジネスに欠かせない不動産を多数保有しており、コロナ後には、回復すると思われます。

但し、新型コロナウィルスによりライフスタイルが変化する可能性があることには注意が必要です。

特にホテル・旅館については、コロナ後も回復に一定期間を要する可能性があります。また、外出自粛により宅配・デリバリーの利用が進んでいますが、コロナ後は以前に比べると商業施設があまり利用されなくなる可能性もあります。一方で、宅配・デリバリーを活用するライフスタイルが根付くことで、物流施設の需要が高まるかもしれません。

J-REIT市場全体としては、コロナ後に回復することは間違いないと思いますが、銘柄によって回復度合いにばらつきがでてきそうです。

J-REIT.jpより)

オフィス・商業施設がメイン、物流施設に注目

不動産証券化協会によると、保有不動産額ベースでの物件タイプ別の割合は、全体の41.2%がオフィス、次いで商業施設が17.4%、物流施設が16.6%となっています。住宅は4番目で、14.4%。次いでホテル・旅館が8.4%となっています。

但し、コロナ後は、在宅勤務の拡大や、宅配・デリバリーの活用などが進む可能性があります。また、観光業の回復には一定の期間を要する可能性もあり、J-REIT全体の物件タイム別の割合が変化するかもしれません。

J-REIT.jpより)

投資物件の半分が東京に集中

投資物件の所在地別の割合を見ると、東京が全体の48.7%と約半分を占めています。東京を含む関東では、全体の71.3%にも及びます。関東の人口は約4,000万人で、人口比率は日本全体の30%強です。人口比率と比較すると、不動産物件として魅力のある物件が関東に集中していることがわかります。

もちろん、不動産市場自体は、関東以外の地域でも一定の規模はありますが、東京近郊に比べると、大規模な不動産があまり多くなく、J-REITの投資対象になる不動産が少ないようです。J-REITの平均的な投資物件は50億円くらいですので、大規模なオフィス、マンションや施設がターゲットになることが、関東に集中している要因のようです。

J-REIT.jpより)

総合型J-REITと特化型J-REIT

J-REITには、オフィス、住宅、ホテル、物流施設や商業施設などに幅広く投資をする総合型J-REITと、物流施設やホテルなどの特定の物件のみに投資する特化型J-REITがあります。

総合型J-REIT

総合型J-REITで代表的な銘柄は、野村不動産マスターファンド投資法人、大和ハウスリート投資法人、ユナイテッド・アーバン投資法人やオリックス不動産投資法人などがあります。野村不動産マスターファンドは、総資産が1兆円を超え、国内最大の資産規模を誇ります。

特化型J-REIT

特化型J-REITで最大の銘柄は、オフィス特化型J-REITの日本ビルファンド投資法人です。三井不動産や住友生命保険が大株主の日本ビルファンド投資法人の資産規模は1兆428億円と、総合型の野村不動産マスターファンド投資法人に次ぐ規模です。オフィス特化型J-REITとしては、ジャパンリアルエステイト投資法人や大和証券オフィス投資法人などもあります。

住宅特化型J-REITで最大の銘柄は伊藤忠商事が運営するアドバンス・レジデンス投資法人です。そのほかには、コンフォリア・レジデンシャル投資法人、サムティ・レジデンシャル投資法人やスターツプロシード投資法人などがあります。

ホテル・旅館特化型J-REITで最大の銘柄はマレーシアのRockriseが運営するジャパン・ホテル・リート投資法人。その他には、星野リゾート・リート投資法人や森トラスト・ホテルリート投資法人などがあります。新型コロナウィルスの影響で、観光業が大打撃を受けていますが、コロナ後に観光業が回復し、ホテル・旅館への投資が拡大することを期待したいです。

物流施設特化型J-REITは、外資企業が運営する銘柄が多いことが特徴です。日本プロロジスリート投資法人、GLP投資法人やラサールロジポート投資法人などは外資企業が運営しているJ-REITです。日本企業も物流施設特化型J-REITを運営しており、三井物産などが運営する日本ロジスティクスファンド投資法人、伊藤忠商事が運営する伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人やシーアールイーが運営するCREロジスティクスファンド投資法人などがあります。
新型コロナウィルスの影響で、宅配・デリバリー需要が高まっています。コロナ後も宅配・デリバリー需要の高まりが続く可能性があり、物流施設特化型J-REITには注目したいです。

商業施設特化型J-REITは、三菱商事とUBS証券が運営する日本リテールファンド投資法人、イオンが運営するイオンリート投資法人や三井不動産が運営するフロンティア不動産投資法人などがあります。

これら以外にもヘルスケア・病院特化型J-REITもあります。現在は、ヘルスケア&メディカル投資法人のみですが、高齢化社会の中で、ヘルスケア・病院などの施設の需要が高まっていくことが予想されており、今後、ヘルスケア・病院への投資が拡大し、新たにヘルスケア・病院特化型J-REITが現れるかもしれません。

J-REIT運営会社への転職

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J-REIT資産規模 上位20社

※ 括弧内は、主な投資対象物件の種類

 

順位 企業名
1

野村不動産マスターファンド投資法人
[オフィス、住宅、ホテル・旅館、物流施設、商業施設など]

総資産   : 1兆1,648 億円
当期純利益 : 233 億円
資産運用会社: 野村不動産投資顧問
株主    : 野村不動産ホールディングス

2

日本ビルファンド投資法人
[オフィス]

総資産   : 1兆428 億円
当期純利益 : 309 億円
資産運用会社: 日本ビルファンドマネジメント
株主    : 三井不動産、住友生命保険など

3

ジャパンリアルエステイト投資法人
[オフィス]

総資産   : 9,664 億円
当期純利益 : 284 億円
資産運用会社: ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント
株主    : 三菱地所、三井物産

4

日本リテールファンド投資法人
[商業施設]

総資産   : 9,008 億円
当期純利益 : 239 億円
資産運用会社: 三菱商事・ユービーエス・リアルティ
株主    : 三菱商事、ユービーエス・アセット・マネジメント

5

大和ハウスリート投資法人
[オフィス、住宅、ホテル・旅館、物流施設、商業施設、ヘルスケア・病院など]

総資産   : 8,412 億円
当期純利益 : 178 億円
資産運用会社: 大和ハウス・アセットマネジメント
株主    : 大和ハウス工業

6

ユナイテッド・アーバン投資法人
[オフィス、住宅、ホテル・旅館、物流施設、商業施設、ヘルスケア・病院など]

総資産   : 6,782 億円
当期純利益 : 230 億円
資産運用会社: ジャパン・リート・アドバイザーズ
株主    : 丸紅

7

オリックス不動産投資法人
[オフィス、住宅、ホテル・旅館、物流施設、商業施設、ヘルスケア・病院など]

総資産   : 6,773 億円
当期純利益 : 193 億円
資産運用会社: オリックス・アセットマネジメント
株主    : オリックス

8

日本プロロジスリート投資法人
[物流施設]

総資産   : 6,385 億円
当期純利益 : 179 億円
資産運用会社: プロロジス・リート・マネジメント
株主    : プロロジス

9

GLP投資法人
[物流施設]

総資産   : 6,105 億円
当期純利益 : 187 億円
資産運用会社: GLPジャパン・アドバイザーズ
株主    : 日本GLP

10

積水ハウス・リート投資法人
[オフィス、住宅、ホテル・旅館]

総資産   : 5,480 億円
当期純利益 : 133 億円
資産運用会社: 積水ハウス・アセットマネジメント
株主    : 積水ハウス

11

インヴィンシブル投資法人
[オフィス、住宅、ホテル・旅館、商業施設など]

総資産   : 5,224 億円
当期純利益 : 329 億円
資産運用会社: コンソナント・インベストメント・マネジメント
株主    : Fortress CIM Holdings、ソフトバンクグループ

12

アクティビア・プロパティーズ投資法人
[オフィス、商業施設]

総資産   : 5,155 億円
当期純利益 : 155 億円
資産運用会社: 東急不動産リート・マネジメント
株主    : 東急不動産

13

大和証券オフィス投資法人
[オフィス]

総資産   : 4,860 億円
当期純利益 : 128 億円
資産運用会社: 大和リアル・エステート・アセット・マネジメント
株主    : 大和証券グループ本社

14

日本プライムリアルティ投資法人
[オフィス、商業施設]

総資産   : 4,535 億円
当期純利益 : 141 億円
資産運用会社: 東京リアルティ・インベストメント・マネジメント
株主    : 東京建物、安田不動産など

15

アドバンス・レジデンス投資法人
[住宅]

総資産   : 4,516 億円
当期純利益 : 141 億円
資産運用会社: ADインベストメント・マネジメント
株主    : 伊藤忠商事、伊藤忠都市開発

16

ケネディクス・オフィス投資法人
[オフィス]

総資産   : 4,398 億円
当期純利益 : 120 億円
資産運用会社: ケネディクス不動産投資顧問
株主    : ケネディクス

17

ジャパン・ホテル・リート投資法人
[ホテル・旅館]

総資産   : 4,157 億円
当期純利益 : 153 億円
資産運用会社: ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ
株主    : Rockrise、共立メンテナンス

18

森ヒルズリート投資法人
[オフィス、住宅、商業施設]

総資産   : 3,923 億円
当期純利益 : 106 億円
資産運用会社: 森ビル・インベストメントマネジメント
株主    : 森ビル

19

イオンリート投資法人
[商業施設]

総資産   : 3,624 億円
当期純利益 : 108 億円
資産運用会社: イオン・リートマネジメント
株主    : イオン

20

ヒューリックリート投資法人
[オフィス、ホテル・旅館、商業施設、ヘルスケア・病院など]

総資産   : 3,307 億円
当期純利益 : 88 億円
資産運用会社: ヒューリックリートマネジメント
株主    : ヒューリック

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