世界最大のデータセンター運営会社Equinixはまだまだ成長しそう

世界最大のデータセンター運営会社Equinixはまだまだ成長しそう

データセンターについては、ご存知の方も多いかと思いますが、普段の生活では、ほとんどの方は接点がないですよね。

GoogleやAmazonといった会社は、直接一般消費者にサービスを提供していることもあって、身近にも感じるでしょうし、メディアでもよく取り上げられています。

データセンターのビジネス自体は、目立つ存在でもないので、あまり注目されていないビジネスではあります。

ただ、GoogleやAmazonなどのウェブサービスは、データセンターなしでは存在しません。

ウェブサービスを提供するために必要なサーバーは、データセンターに設置されています。

GoogleやAmazonが提供しているクラウドサービスも、世界各国のデータセンターに設置されたサーバー群があるから成り立っているサービスです。

データセンターは、縁の下の力持ちのような存在で、世界中のあらゆるウェブサービスを支えてくれています。

今回は、世界最大のデータセンター運営会社Equinixを取り上げます。

今回から、紹介した企業のA~Dで評価してますので、そちらも参考にしてみてください。

A~Dの評価の基準は以下の通りです。

A:高成長企業(利益率を維持しながら、しばらくは成長率30%以上を継続できそうな会社)

B:安定成長企業(利益率を維持しながら、しばらくは成長率10%~30%以上を継続できそうな会社)


C:成熟企業(利益率を維持できるが、成長率一桁台(10%未満)が続きそうな会社)


D:衰退企業(売上の減少や利益率の減少などで低迷しそうな会社)

Equinixの評価は「B」

Equinixは世界最大のデータセンター運営会社で、世界シェアは13%です。ちなみに、2位はDigital Realtyという会社で、世界シェアは9%。

EquinixとDigital Realtyは、主力サービスが異なります。Equinixは、コロケーションというサービスを主に提供していますが、コロケーションの世界シェアは17%です。2位はNTTですが、NTTの世界シェアは5%と、Equinixがコロケーションではダントツの1位になっています。

Equinixは、M&Aや自社データセンターの新規開設や増床などによって成長を遂げてきました。2018年の前年比売上成長率は16.1%でした。2016年と2017年は大規模なM&Aを実施したこともあり、前年比売上成長率は、それぞれ32.5%、20.9%を記録しましたが、それ以前の2014年と20015年を見ると、売上成長率は13.5%と11.5%でした。

自社データセンターの新規開設や増床のみでの成長力は、年間10%~15%というところでしょうか。

営業利益率について見てみると、多少の増減はありますが、毎年18%~20%程度の利益率を維持しています。大型のM&Aを行ったとき以外は、利益率は安定して推移してきています。

Equinixがいるデータセンターの市場について見ると、データセンターの世界市場規模は、8%~10%程度の成長が続くと予想されています。また、競合の企業数は1,200社程度いるとのことで、小規模~中規模のプレイヤーが存在しているマーケットです。

これらを踏まえて、Equinixの今後について考えてみます。

Equinixが自社のみで成長する場合でも、過去実績と世界市場規模の今後の成長率を踏まえると、売上成長率は10%程度は確保できると思われます。データセンター事業者は世界に1,200社以上いると言われています。プレイヤーが多数いるマーケットなので、M&Aのチャンスはまだまだあると思われます。M&Aができれば、売上成長率は15%~20%は維持できるかなと思います。一方で、過去実績からも売上成長率は30%を超えることは難しいでしょうね。

利益率については、これまでかなり安定して推移してきました。データセンター市場が成長市場でもあり、価格圧力などにより収益性が低下するリスクはあまりないと思われますので、今後も現状レベルの利益率は維持できると思います。

したがって、Equinixの評価は「B」です。

B:安定成長企業(利益率を維持しながら、しばらくは成長率10%~30%以上を継続できそうな会社)

ここからは、Equinixの業績データなどを見ながら、Equinixについて説明します。

最後に日本のデータセンター運営会社も紹介しますね。

Equinixのサービス

Equinixの主力はコロケーションとインターコネクションです。2018年の売上構成比を見ると、コロケーションが72.4%、インターネットコネクションが15.8%ですので、コロケーションが圧倒的な主力サービスです。

簡単にサービスについて説明します。

コロケーションというのは、簡単に言うと、データセンター内のサーバー設置用スペースのレンタルです。場所貸しと表現してもいいかもですね。

インターコネクションは、プラスアルファのサービスというイメージで、Equinixのコロケーションサービスを利用している顧客に対して、顧客の自社システムや他社のクラウドサービスなどとの接続スピードなどを改善させてあげるサービスです。

Equinixの展開地域

Equinixは、グローバルに展開している企業ですが、主な展開地域は、北米、ヨーロッパです。

以下の、Equinixの拠点マップを見るとわかりやすいですね。

もちろん、日本にも進出しており、アジア地域では、日本以外にも中国、香港、シンガポール、インドネシア、オーストラリアに展開しています。

地域別の売上高を見ると、米州(北米、中南米)が約50%、欧州・中東が30%、アジアが20%といった構成比になっています。

Equinixの成長戦略

Equinixは、自社によるデータセンターの新規開設や増床などによる事業規模の拡大とともに、積極的に買収も繰り広げています。

以下のグラフは、Equinixの企業買収とデータセンターへの投資額の推移です。

2016年と2017年にはM&A(企業買収)に積極的にお金を使っていましたが、2018年になって減少していますね。

一方で、自社のデータセンターへの投資は、毎年増加してきています。財務諸表などのデータからは、新規のデータセンター開設への投資と、既存施設の維持のための投資の内訳はわかりませんが、いずれにしろ、毎年数千億円規模の投資を行っていることがわかります。

Equinixが、過去5年間にどういった企業を買収してきたかをまとめてみました。
買収規模が1億ドル(約110億円)以上のものをピックアップしました。

目立つのは、2016年1月に買収したTelecity Groupと、2017年5月に買収したVerizon Data Centerですね。それぞれ37億ドル(約4,000億円)、36億ドル(約3,900億円)と、他の案件の買収規模と比べても、大きかったことがわかります。

ちなみに、上のグラフを見ると、Telecity Groupを買収した2016年の企業買収関連の投資額が約18億ドルと、Telecityの買収規模(37億ドル)よりも小さいことがわかります。Telecityの買収では、現金+株式交換での買収だったため、実際の支払額は買収規模よりも少なくなっています。

Equinixの売上、利益、利益率

2018年のEquinixの売上は50.7億ドル(約5,500億円)、前年比16.1%増となりました。

過去5年間の売上の推移と、前年比売上成長率の推移は以下のグラフをご覧下さい。

2016年と2017年は、前年比売上成長率がそれぞれ32.5%、20.9%となっていますが、これは、大型買収があったことによります。

大型買収がなければ、10%~15%くらいの成長率でしょうかね。

2018年の営業利益は、9.8億ドル(約110億円)でした。
毎年着実に成長してきていますね。

評価できる点としては、営業利益率を安定的に維持できていることですね。

2016年に営業利益率が低下しましたが、その後回復して、19.3%と20%弱の水準に戻しています。

2016年の低下は、おそらくTelecityGroupの買収によるものと思われます。

以下の地域別営業利益率の推移(2つ目のグラフです)を見ると、2016年に欧州・中東地域の営業利益率が急減しています。ちょうど、欧州で事業展開するTelecityGroupを買収したタイミングですね。

また、2017年に、北米・中南米地域の営業利益率が低下していますが、この年にはVerizon Data Centerの買収をしたタイミングです。

営業利益率が減少した要因としては、大型買収によるもの思われます。

2018年の税前利益は、4.3億ドル(約460億円)となり、前年比で8.5%増となりました。

税前利益は、買収関連費用など、本業とは関係のない要因が影響するので、営業利益ほど安定はしていませんが、トレンドとしては増加傾向にあると言えるかと思います。

ちなみに、営業利益と税前利益の差が結構でかいんですが、ほとんどが支払利息です。

データセンターへの投資や企業買収を進めるために、借入もしていますので、その借入の利息の支払いがそこそこあります。

Equinixの財務健全性

先ほど、Equinixの支払利息が大きいことについて触れました。

Equinixは、データセンター投資や企業買収を通じて規模を拡大してきていますので、今後も銀行などから借入をちゃんとし続けられるかどうかが重要です。
つまり、損益計算書やキャッシュフロー計算書だけでなく、貸借対照表(バランスシート)もしっかりと見ておく必要があります。

今回は、EquinixのD/Eレシオを算出して、Equinixの財務健全性をチェックしました。

D/Eレシオとは、デット・エクイティ・レシオと読み、有利子負債 ÷ 純資産(株主資本)で計算されます。
この値が低いほど、財務健全性は高い、つまり安全な会社と言えます。だいたい、D/Eレシオは1倍程度がいいと言われていますが、業種にもよるので、あくまでも目安と考えておいてください。

ちなみに、同じような用語で、ネットD/Eレシオという言葉もあります。(有利子負債ー現預金)÷ 純資産で計算されます。
Equinixのように、設備投資や買収を積極的に行う会社は、前もって借入をしておいて、手元に潤沢な現預金を用意しておいて、いつでも買収などを行えるようにするケースがあります。
借入金が多くても、現預金が潤沢にあれば、いつでも返済することができるので、リスクは低いため、D/Eレシオだけでなく、ネットD/Eレシオも見ておく必要があります。

以下のグラフは、EquinixのD/EレシオとネットD/Eレシオの推移です。

2015年にD/Eレシオが1.89倍とかなり高くなりましたが、ネットD/Eレシオは1.08倍にとどまっています。2016年1月にTelecityGroupを買収していますので、そのための資金を用意していたために、一時的にD/Eレシオが悪化したと思われます。

EquinixのネットD/Eレシオを見ると、2017年までは1倍くらいでしたが、2018年に1.28倍に上昇しています。2019年3月末のネットD/Eレシオを見ると0.96倍まで低下していますので、一時的に増加したということかなと思います。

ネットD/Eレシオが1.0倍近辺で推移していますので、財務健全性という観点からも、大丈夫かなと思います。

日本のデータセンター運営会社

最後に、主な日本のデータセンター運営会社を紹介します。

データセンター数が10拠点以上もしくはサーバー室面積が3万㎡以上あるデータセンター運営会社を以下のとおりまとめてみました。

やはり、世界3位(コロケーションでは世界2位)のNTTグループが圧倒的に大きいですね。有名どころの電機メーカーや通信会社が並んでいます。

ちなみに、アット東京は、もともとは東京電力の子会社でしたが、東日本大震災直後の2012年に、東京電力が売却して、今はセコムが筆頭株主(51%保有)になっている会社です。東京電力も33%まだ株は持っています。

(JDCCデータより弊社作成)

注目企業カテゴリの最新記事

Translate »