キリン堂ホールディングス(以下、キリン堂HD)は、大阪に本社に構え、主に関西でドラッグストアを展開している東証一部上場企業です。
キリン堂HDは、1958年にキリン堂を設立したことから始まります。1977年には直営店舗数が50店舗を達成、98年には100店舗となり、2019年2月末の店舗数は369店舗にまで拡大しています。
多くのドラッグストア大手が、既存展開地域以外にも展開しながら、規模を拡大させているのに対して、キリン堂HDは、既存展開地域の関西エリアでの出店を進め、ドミナント戦略を進めてきています。
今回は、キリン堂HDの業績を徹底解説します。
店舗数は新規出店と店舗入れ替えを進めながら右肩上がりに増加
2019年2月末の店舗数は、前年比10店舗増の369店舗となりました。
キリン堂HDは、新規出店とM&Aを通して、店舗数を拡大させてきました。
毎年安定的に10店舗ずつくらいのペースで増加してきています。
売上高も安定的に増加している
店舗数の拡大により、売上高も増加してきています。
2013年以降、毎年増収を続けており、6期連続の増収となりました。
今後も、店舗数の拡大により、安定的に売上高が増加するものと思われます。
利益も安定的に稼いでいるが、利益率は低い
キリン堂HDの営業利益と当期純利益の推移を見ると、営業利益は安定的に15~20億円を稼いできていることがわかります。
当期純利益は2010年、2011年、2012年は低水準にとどまりましたが、その後回復し、2019年2月度は15億円と2年連続の増益となりました。
安定的に利益を稼げる体質にはなっていますが、営業利益率は1%台と、他のドラッグストア大手に比べると低い感が否めません。
キリン堂HDとしても利益率を改善させるために、売場改装や物流センターの稼働などを実行してきていますが、2%の壁を超えられずにいます。
調剤店(併設店・専門店)の割合が増加している
キリン堂HDは、ここ3年くらいで、調剤店(併設店・専門店)の数を大幅に増やしてきています。
2016年2月末の調剤店舗数は56店舗でしたが、2019年2月末には87店舗と、ここ3年間で31店舗も増加しています。
全体の店舗に占める調剤店の割合も、2016年2月末の16.8%とから、2019年2月末には23.6%に増加しました。
キリン堂HDは、調剤売上の利益率は公表していないため、詳細は不明ですが、一般的に調剤の利益率は他の商品に比べて高く、多くのドラッグストアも利益率改善のために、調剤に力を入れてきています。
調剤店舗数を増やした結果、調剤売上が全体の売上に占める割合は徐々に増加してきています。
2016年2月期の調剤売上は、全体の9.2%でした。翌年度は若干減少し、8.9%となりましたが、その後上昇し、2019年2月期は10%にまで上昇しました。
商品別売上では、食品・雑貨などの売上の割合が増加
商品別の売上高の推移を見てみます。
2019年2月期の商品別売上高は、医薬品が340億円、化粧品が314億円、食品・雑貨などのその他売上が622億円となりました。食品・雑貨などの売上が、全体の48.8%を占めています。
尚、調剤売上は、医薬品の中に含まれています。
商品売上の構成比は、長年、ほとんど変わっていません。全体の半分が食品や雑貨、医薬品と化粧品が4分の1ずつという比率です。
関西に9割近くの店舗が集中している
キリン堂HDは、全体の約9割の店舗を関西エリアに集中させています。
特に、大阪と兵庫への店舗数が突出して多いです。
関西エリアへの集中率は、ここ10年間ほとんど変わっていません。
売上についても、9割近くの売上が関西の売上になっています。
関西エリアの売上構成比は、10年前から若干増加しています。2010年2月期は全体の86%が関西エリアでの売上でしたが、2019年2月期には88%と、若干ではありますが、増加しています。