神奈川県横浜市を拠点にドラッグストア事業を展開するクリエイトSDホールディングス(以下、クリエイトSD)。
ドラッグストア事業以外にも、老人ホーム事業やデイサービス事業も展開しています。
2018年5月期の売上高は、2,682億円と前年から8.4%増加しました。また、利益率もドラッグストア企業の中では高い水準で安定しています。
ドラッグストア業界は、M&Aによって拡大する企業がある中で、クリエイトSDは、自社による新規出店で、毎年店舗数を拡大させ、売上高も拡大してきました。
今回は、高い利益率を維持しながら、毎年安定的に成長を遂げているクリエイトSDの業績を紹介します。
新規出店によって着実に店舗網を拡大させているクリエイトSD
2018年5月末の店舗数は、前年から54店舗増の595店舗となりました。伸び率では、10%の増加ですね。
クリエイトSDは、2009年に老人ホーム事業を展開するウェルライフ株式会社を買収していますが、ドラッグストア事業ではM&Aは行っておらず、自社による新規出店で拡大してきています。
クリエイトSDは、神奈川県横浜市に本社を構えていますが、店舗についても神奈川県を中心に、東京、静岡、千葉などに展開しています。
他のドラッグストア大手は、展開地域を拡大させている傾向がありますが、クリエイトSDは、既存展開地域への出店を進めることで、地域シェアを高めてきています。
他地域への展開をあえて進めないことで、効率化が進み、収益性の高い体質を維持できているのかもしれません。
安定的に売上を成長させているクリエイトSD
クリエイトSDの売上高の推移は、まさに右肩上がりです。年間成長率も8%前後で推移しており、極めて安定的に売上を伸ばしてきています。
地域別売上高を見ると、店舗数と同じように、神奈川県での売上構成比が高いことがわかります。2018年5月期の、神奈川県の売上構成比は61.4%でしたが、過去10年間、ほぼ同じ構成比で推移しています。
他の展開地域では、若干の構成比の増減はありますが、いずれの地域でも売上高を伸ばしてきており、既存展開地域でのドミナント出店を進めてきたことがわかります。
営業利益率も安定的に推移しているが、人件費増が若干の重しに
営業利益もかなり安定して伸びてきています。営業利益率は5%前後を維持しています。
2018年5月期は、人手不足による採用コストの増加や、店舗スタッフの時給の上昇などがあり、営業利益率が若干低下し、営業利益は、前年比4%減の139億円となり、純利益も前年比6%減の95億円となりました。
営業利益率が下がったとはいえ、2018年5月期の営業利益率は5.2%でしたので、依然として高い利益率を維持しています。
調剤事業を強化し、利益率を改善させているクリエイトSD
一般的に、調剤の利益率は高く、多くのドラッグストアが調剤に力を入れています。
クリエイトSDも調剤に力を入れており、調剤店(併設店と専門店)の割合を増加させてきています。
2009年5月末は、全店舗に対して11.7%しか調剤店はありませんでしたが、2018年5月末には、31.1%まで比率を増加させています。
調剤事業による売上構成比(全体の売上に占める割合)も年々増加してきており、2018年5月期の売上構成比は6.5%まで高まっています。
クリエイトSDの調剤事業の売上総利益率は、40%程度とかなり高く、調剤に力を入れることで、全体の売上総利益率を改善させることができています。
以下のグラフは、クリエイトSD全体の売上総利益率の推移ですが、徐々に上昇してきていることがおわかり頂けるかと思います。
商品別売上は医薬品の割合が増加し、化粧品の割合が減少
クリエイトSDの商品別売上を見ると、食品・雑貨の売上高が全体の61.5%(2018年5月期)を占めています。食品・雑貨の売上構成比は、60%前後を安定的に推移してきています。
医薬品の売上には、調剤の売上も含まれていますが、調剤店の拡大により、医薬品の売上構成比は2009年5月期の23.4%から、2018年5月期には24.4%に増加しました。
一方で、化粧品の売上構成が若干減少しています。